『パワーズ・ブック』
- 2008/07/05(土) 02:22:48
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全編を通して、リチャード・パワーズについての解説をのせた一冊。
現在のところ、パワーズは3作品(『舞踏会へ向かう三人の農夫』『囚人のジレンマ』『ガラテイア2.2』)が日本語で翻訳されており、7月末には8作目の『The Time of Our Singing』の訳本として、『われらが歌う時』が出版されます。
だが、いかんせん日本での知名度は低い。
自分が知ったのも今年の春先なんですけどね・・・。
パワーズは根っからの長編作家で、日本では単行本しか出ていないため、敷居が高いように感じるかもしれませんが、ピンチョンと聞いてビビッとくる人は読むべき作家だと思います。
また、パワーズは元々物理学者を目指していたため、ピンチョンを凌駕するほどの科学知識を有していると言っていいかもしれません。
個人的なオススメは『囚人のジレンマ』です。
これには言葉遊び、歴史性、ファンタジー、3つのストーリーによる多重構造の凄み・・・などなどの魅力が凝縮されている作品だと思います。
何より自分がパワーズに惹かれる点は、本人がインタビューで語っているように、彼の作品の性格が「ローカルな弧とグローバルな弧の交差について書かれた作品」であることです。
現代に生きている自分は、増大し続ける情報と、それに伴う世界性の拡大によって、自分をもはや世界という空間内の点以下の存在と思わざるをえません。
しかし、個が存在しなければ集団が存在しないように、歴史の中でも個人のなすべきことはある、とパワーズの作品は訴えているように思います。(確かトルストイの『戦争と平和』もこれをテーマにしていました)
その交差点の上で、我々はどのように振る舞えばいいのだろうか。
話が多少ずれましたが、『パワーズ・ブック』に載ってる書評はどれも非常に読み応えがありました。
だけど、ここまで読み解くのは時間と気力がなければ不可能ですよね。
通読だけで、語れることにはどうしても限界がありますって・・・。
いや、劣等感に浸っていても仕方がない。今、為しえることをやろう。
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